Column#9 閃輝暗点(せんきあんてん)
「ヘルニアと診断されて痛みと痺れに悩まされています。薬やブロック注射で様子を見ていますが変化がなく、
次は手術をするしかないと言われていますがなんとかなりますか?」
こんなお問い合わせがたくさんあります。
現在の医学での鑑別判断では答えが出にくいヘルニアに関してお話ししたいと思います。
ヘルニアとは?
たくさん記述もあるかと思いますのでここでは省略します。
脊椎間が狭くなり椎間板の髄核が飛び出したものがヘルニアで、そのヘルニアが神経を圧迫することで
痛みや症状が出現。ブロック注射や投薬で症状が治らなければ、手術でヘルニアを切除し神経の圧迫を
除去すれば症状は治る。
上記が一般的な解説だと思います。
ヘルニアが神経を圧迫できているのか?
画像をみるとヘルニアが神経根を圧迫しています。が不自然な部分もあります。
圧迫まではいいですが、神経根のある場所にはスペースに余りがあります。
飛び出ている髄核自体も硬いものではないので飛び出るように変性しますが、
ここで想像してみてください。
ホースに流れている水を止めるには拘束しないといけません。指で押しつぶすように。
神経もそれなりに柔らかく、髄核もそれほど硬くなく、トンネル内にある神経もトンネルには
まだ余裕がある場合、上記図のようなヘルニアが神経を拘束するほどの力がかかるのか疑問です。
満員電車で押されたらホームに飛び出ちゃうのが普通ですが、ヘルニアの説明だとホームに飛び出ず
ぺしゃんこになるということです。ドアが閉まった状態なら潰れるかもしれませんが。。
ここに、ヘルニアによる症状の出現という難解が難攻不落の症状にしてしまっています。
また、神経根を圧迫した場合、痛み、痺れと合わせて、運動麻痺、筋萎縮も合わせて起こらなければ
生理学的に説明がつきません。
ヘルニアの症状はヘルニアになった原因が原因
脊椎間に圧力がかかり椎間板を押しつぶすことで髄核が飛び出してくるヘルニアが起こるわけですが、
その圧力は何が掛けているのか。
下の図は筋スパズム(筋のコリ)と筋膜の癒着が起こす拘縮の図です。
(一番下、緑の筋膜の矢印の集合点が私の言うトリガーポイントです)
筋肉が短縮を起こし筋膜が癒着(トリガーポイント)拘縮することで右側の黒線が近づいています。
この左右の黒線が「4番5番の腰椎ヘルニア」でいう4番腰椎と5番腰椎です。
ヘルニアを起こすには姿勢の悪さによる筋スパズムが長期間(個人差があると思いますが1、2ヶ月ではない)
続き筋膜の癒着拘縮に悪化しヘルニアが起きる頃には痺れや痛みが酷く、受診するといった感じでしょう。
実際コリや癒着の時系列ははっきりとわかりません。ですが、筋スパズム(コリ)の時点で違和感はあるはずで
痛みの強度とともに、癒着や拘縮、トリガーポイント形成が起こり、最後にヘルニアが起きるというのは
容易に想像がつきます。
なぜならヘルニアがなくてもヘルニアと同じ症状の方は沢山いて、なおかつヘルニアでも無症状の人が
いることからもヘルニアが症状の原因ではなく、筋膜や筋肉が起こしていると推測できます。
こちらの治療効果も非常に高く、手術を回避したいという患者様が寛解することは日常です。
上記はあくまでも推論的選択として推測から治療して結果が出た治療的鑑別により導いています。
いまだ筋肉のコリに起因する痛みや筋膜の癒着による症状の研究は少なく科学的見解がはっきりしていません。
今後研究が進むと明らかになるかと思いますし海外ではどんどん徒手療法が取り入れられています。
日本でも一部の理学療法士さんたちが医師の下徒手療法を行っていますのでどんどん発展していくでしょう。
そこにいつか鍼治療も科学的に選択されるようになると患者様の有益な医療体制が整う気がします。
sole e mare 滝澤幸一