Column#9 閃輝暗点(せんきあんてん)
「顎を動かすと痛い。」
「口が開きずらい。」
「お肉が食べれない。」
顎関節に関わる症状は様々で痛みがなければ何事もなく過ごす方も多くいらっしゃるかと思います。
日本人は2人に1人が顎関節症とも言われています。
ここ数年で顎関節の概念も変わり日本顎関節学会でのガイドラインでは噛み合わせ調整で歯を削るのは
御法度まで変わってきました。削られた方は残念です。
顎関節は4つの分類がありそれぞれで治療法は異なります。どの分類でどういった状態なのかなのかを判断し
正しく治療することが大切です。
中には歯科治療より鍼治療の有効な適応症状もありますので説明していきます。
顎関節の4パターン
Ⅰ型 筋肉由来 :咀嚼筋群のコリ(トリガーポイント)が原因
Ⅱ型 靱帯由来 :靱帯が緩み関節の負担増が原因
Ⅲ型 関節円板由来 :骨の間にあるクッション材
Ⅳ型 骨の変形由来 :骨の変形が原因
Ⅰ型の筋肉由来は当然ながら鍼灸の適応でどの治療よりも効果が高いですし、顎関節症のなかでもっとも
割合も多いと思われます。
筋膜にできるトリガーポイントが原因で外側翼突筋を中心に側頭筋・咬筋・胸鎖乳突筋などにも
トリガーポイントができていることがあります。
頭痛が治らず顎関節症をお持ちの方はこの外側翼突筋にできたトリガーポイントによる頭への放散痛の
可能性が高いですので、顎に違和感がある頭痛は顎へのアプローチで改善します。
Ⅱ型の靱帯が原因の場合は鍼灸適応外です。膝や肩と同様に靱帯の緩みや断裂は手術になりますが、
顔の一部ですので手術は取らず、局所治療による除痛処置(注射、頓服)を続けていくのが一般的だと思います。
それに加え負担が増している筋肉が痛みを出すことも多いのでその筋肉へは鍼灸が効いてきます。
正しい動きの再教育も必要です。頻度としては低めの分類になると思います。
Ⅲ型は関節円板の炎症や位置のズレが元で顎関節の動きが悪くなり痛むものです。
こちらも直接的に関節円板へのアプローチは鍼灸の適応ではないのですが、関節円板は筋肉と繋がっていて
その筋肉のコリにより筋膜が引っ張られることでズレや炎症がおきます。筋肉のコリを取り除くことで
筋膜の癒着もなくなり関節円板が正常の位置へ戻ることができます。
ですのでこちらも鍼灸で効果があります。頻度は割と高く他の分類と併発します。
Ⅳ型は骨の変形による痛みですので鍼灸では治せません。
私は経験がなく、頻度も低いですが、処置としては大学病院での手術になるかと思います。
顎関節症には鍼灸治療
顎関節症の治療には鍼灸がかなり効果を発揮します。
歯科医院でレントゲンを撮ることは大事ですし虫歯の放散痛による顎の痛みの場合もありますので
しっかりと検査を受けてください。
そこで筋肉のお話が出た場合はしっかりと経験のある鍼灸院の受診はオススメです。
特にトリガーポイントは効果が高いですのでご相談ください。
sole e mare 滝澤幸一